第5話 官僚としての未来か 医師としての使命かー妊婦に迫る炎!絶体絶命の密室で母子の命を救え
Case 12 エレベーター内の妊婦
明日、帝王切開予定
妊娠高血圧とは
エレベーターの故障によりエレベーターが停止
さらに機械室にて火災が発生
機械室には排煙窓はなく、火災による煙がエレベーター内へ侵入
火災による煙の進むスピードは、
廊下などの横方向では0.3〜0.8m/秒
階段のような縦方向では3〜5m/秒
と上下の移動が圧倒的に早い
火災時の煙の主成分は、一酸化炭素(CO)と炭酸ガス、シアン化水素、塩素ガスなど
今回のCaseでは、エレベーター内に煙が侵入してから時間が経つにつれて、室内の酸素濃度が下がるとともに、一酸化炭素が充満し始めている
徐々に低酸素状態と一酸化炭素中毒症状が出現
そんな中、妊婦さんの陣痛が出現し破水
妊婦を確認すると、臍帯脱出となっている
エレベーター内で音羽医師による帝王切開が施行された
まずは妊娠中の胎児の正常位置を理解する
子宮内における胎児の位置
Fetus in Utero:子宮内胎児
Placenta:胎盤
Umbilical Cord:臍帯
Fetus:胎児
Uterus:子宮
Amniotic Sac:羊膜腔
Cervix:子宮頸部
Bladder:膀胱
Vagina:膣
Anus:肛門
正常分娩時の胎児の動きを確認しておこう
正常分娩時の胎児の動き
今回のCaseでは、元々帝王切開の予定であったが陣痛が発生し子宮口が開大し始めてしまった
しかし、胎児の頭ではなく先に臍帯が外へ出てきていまう臍帯脱出という現象が発生
それに伴い、胎児の心拍数も徐々に減少
臍帯脱出が起きてしまったということは、胎児の位置が骨盤位または横位である可能性と胎児の頭部が下に降りてくる前に破水してしまったことが考えられる
臍帯脱出とは
胎児の先進部の前方に臍帯が位置する異常であり、胎児が分娩中に臍帯を圧迫し、胎児の低酸素血症の原因となる
一般的な治療:
胎児の血流を回復するために脱出した臍帯から保持し続けながら、即時の帝王切開を施行
(妊婦の膝を胸に近づけ、テルブタリン0,25mgを静脈内に単回投与することで収縮が軽快し有効なことがある)
帝王切開
子宮切開には古典的縦切開と下部横切開がある
・古典的切開:
子宮前壁を子宮上部または子宮底部に向けて縦に切開
下部切開に比べ失血量が多い
通常、前置胎盤が存在する場合、胎児が背部を下にした横位の場合、早産児の場合、子宮下部の発達が不十分な場合、または胎児異常が存在する場合にのみ行う
・下部切開:
最も頻繁に行われる。子宮体下部に施行し膀胱腹膜反転部を子宮から剥離
縦方向の子宮下部切開では、特定の胎位異常と極端な巨大児に対してのみ行う
帝王切開にて取り出した胎児は心肺停止の状態
胎児に対して新生児心肺蘇生を開始(NCRP)
日本蘇生協議会(JRC)より公表された新生児蘇生法アルゴリズム2020
2015年版から2020年版に改訂された
詳しくは「新生児蘇生法普及事業」を参照
今回は以上
お疲れ様でした
0コメント