第5話 官僚としての未来か 医師としての使命かー妊婦に迫る炎!絶体絶命の密室で母子の命を救え

喜多見幸太(鈴木亮平)の妹・喜多見涼香(佐藤栞里)と妊婦を乗せたエレベーターが火災により急停止!乗り合わせた音羽尚(賀来賢人)と大物政治家・天沼夕源(桂文珍)と共に閉じ込められてしまう。煙が充満し酸欠状態のエレベーターで妊婦の容態が急変!
出動したTOKYO MERには、政治家・天沼の救出を優先するよう命令が下る。炎上間近のエレベーターで音羽に迫られる究極の選択…。母子の命を救うため、喜多見が下した決断とは!?
TOKYO MERのメンバーたちが決死の救出劇に挑む!

Case 12 エレベーター内の妊婦

36週 初産婦
妊娠高血圧(180/94mmHg)
子宮頸管長の短縮
子宮口 2 展退 40 St-3 位置中央
胎児心拍 base 130bpm

明日、帝王切開予定

現在は硫酸マグネシウムを点滴中


妊娠高血圧とは
 妊娠中の高血圧の分類
 ・慢性:妊娠前または妊娠20週以前から血圧が高い。
  慢性高血圧は全妊婦の約1〜5%に合併する

 ・妊娠性:高血圧は妊娠20週以降に発生し、分娩後6週までに消失する。
  妊娠の約5〜10%に起こり、多胎妊娠で頻度が高い

 どちらの高血圧も妊娠高血圧腎症、子癇、他の原因による母体死亡または罹患のリスクを増大させる

今回の妊婦は、入院時の血圧が高く(160/110mmHgを超える)リスクが高い

エレベーターの故障によりエレベーターが停止

さらに機械室にて火災が発生

機械室には排煙窓はなく、火災による煙がエレベーター内へ侵入

火災による煙の進むスピードは、

廊下などの横方向では0.3〜0.8m/秒

階段のような縦方向では3〜5m/秒

と上下の移動が圧倒的に早い

火災時の煙の主成分は、一酸化炭素(CO)と炭酸ガス、シアン化水素、塩素ガスなど


今回のCaseでは、エレベーター内に煙が侵入してから時間が経つにつれて、室内の酸素濃度が下がるとともに、一酸化炭素が充満し始めている

徐々に低酸素状態と一酸化炭素中毒症状が出現

そんな中、妊婦さんの陣痛が出現し破水

妊婦を確認すると、臍帯脱出となっている

エレベーター内で音羽医師による帝王切開が施行された


まずは妊娠中の胎児の正常位置を理解する

子宮内における胎児の位置

Fetus in  Utero:子宮内胎児

Placenta:胎盤

Umbilical Cord:臍帯

Fetus:胎児

Uterus:子宮

Amniotic Sac:羊膜腔

Cervix:子宮頸部

Bladder:膀胱

Vagina:膣

Anus:肛門

正常分娩時の胎児の動きを確認しておこう

正常分娩時の胎児の動き

今回のCaseでは、元々帝王切開の予定であったが陣痛が発生し子宮口が開大し始めてしまった

しかし、胎児の頭ではなく先に臍帯が外へ出てきていまう臍帯脱出という現象が発生

それに伴い、胎児の心拍数も徐々に減少

臍帯脱出が起きてしまったということは、胎児の位置が骨盤位または横位である可能性と胎児の頭部が下に降りてくる前に破水してしまったことが考えられる


臍帯脱出とは

胎児の先進部の前方に臍帯が位置する異常であり、胎児が分娩中に臍帯を圧迫し、胎児の低酸素血症の原因となる

一般的な治療:

胎児の血流を回復するために脱出した臍帯から保持し続けながら、即時の帝王切開を施行

(妊婦の膝を胸に近づけ、テルブタリン0,25mgを静脈内に単回投与することで収縮が軽快し有効なことがある)

帝王切開

子宮切開には古典的縦切開と下部横切開がある

・古典的切開:

子宮前壁を子宮上部または子宮底部に向けて縦に切開

下部切開に比べ失血量が多い

通常、前置胎盤が存在する場合、胎児が背部を下にした横位の場合、早産児の場合、子宮下部の発達が不十分な場合、または胎児異常が存在する場合にのみ行う

・下部切開:

最も頻繁に行われる。子宮体下部に施行し膀胱腹膜反転部を子宮から剥離

縦方向の子宮下部切開では、特定の胎位異常と極端な巨大児に対してのみ行う


帝王切開にて取り出した胎児は心肺停止の状態

胎児に対して新生児心肺蘇生を開始(NCRP)

日本蘇生協議会(JRC)より公表された新生児蘇生法アルゴリズム2020

2015年版から2020年版に改訂された

詳しくは「新生児蘇生法普及事業」を参照

今回は以上

お疲れ様でした


TOKYO MER ~走る緊急救命室~ を読む

以前放送された、日曜劇場『TOKYO MER ~走る緊急救命室~』内にて起こる出来事。その時、医療関係者はどのような診断と処置を行い命を救うのか。ドラマ内における出来事をケーススタディとして記載しています。自己の再学習や、今現在学びを深めている医療系学生の学びに役立てていただけると嬉しいです。そしてご質問やご意見、ご要望、温かいメッセージ等は「メッセージはこちら」またはコメントからどうぞ!

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