第3話 立てこもり事件発生!迫る命のタイムリミット
凶悪犯が重病の少女を人質に立てこもる事件が発生!
繁華街に飛びかう銃弾…現場に急行したTOKYO MER・喜多見幸太(鈴木亮平)は、少女に薬を渡さないと命に危険があると主張するが、メンツを気にして口を出すなという警察と対立する。
発作の危機が迫る少女の命を守るため、看護師の蔵前夏梅(菜々緒)は自ら身代わりを志願する。娘を育てるシングルマザーの夏梅には、少女を救いたいという強い思いがあった。しかし、そんな中、犯人は夏梅に発砲する!激しい銃撃戦の極限状態の中で、命をあきらめない喜多見は最前線での緊急オペを決行する!
参考:TBS公式サイト
Case 8 刺創で倒れた女性
左上腹部の刺傷
拍動性のある出血あり
時間経過が長かったことによりショック状態
腹部外傷について
一般的に受傷機転と損傷を受けた構造の種類によって分類される
受傷機転
・鈍的
直接打撃、物体との衝突、または急な減速などがある
脾臓が最も損傷を受ける頻度が高い臓器であり、次いで肝臓および中空臓器(一般的には小腸)が多い
・穿通性
穿通性損傷は腹膜を穿通することも穿通しないこともある
また、穿通した場合に臓器損傷を引き起こさないこともある
刺傷は銃創よりも腹腔内の構造を損傷する可能性が低い
構造の種類
・腹壁
・実質臓器(肝臓、脾臓、膵臓、腎臓)
・中空臓器(胃、小腸、結腸、尿管、膀胱)
今回の症例は刺傷であり穿通性損傷となる
外傷の評価として基本的には「ABCD」を評価
A(Airway):気道
B(Breathing):呼吸
C(Circulation):循環
D(Dysfunction of central nervous system):中枢神経機能異常
今回のように出血が死因につながるような状況では
MARCHという考え方の評価
M(Massive hemorrhage):大量出血
A(Airway):気道
R(Respiratory):呼吸
C(Circulation):循環
H(Hypothermia):低体温、Head injury(頭部外傷)の評価
処置の基本は止血
一般の人でも学べる対処法
Bleeding controlコースというものが日本でも始まっているようです。
(外傷患者に対する病院前のタニケット(止血帯)の使用などに関する米国外科学会の講習。米国では一般市民などにも行われている)
喜多見チーフDrより指示
全身麻酔下による緊急手術
輸液
FFP(新鮮凍結血漿)輸血準備
開腹手術にて動脈が3箇所傷あり止血処置
Case 9 銃創で倒れた警察官
日本では銃創はあまりないと思いますが、海外の医療系ドラマでは日常茶飯事に出てきます。
おすすめの海外ドラマは
・ER 緊急救命室
・グレイズ・アナトミー
銃で撃たれた際に、看護師が叫んでいました。
「左鎖骨下動脈損傷の疑い」
鎖骨下動脈 上記を参照
鎖骨下動脈は4つに分岐する
①椎骨動脈(ツ)
②内胸動脈(ナ)
心膜横隔動脈、前肋間枝、筋横隔動脈、上腹壁動脈
③甲状頸動脈(コ)
下甲状頸動脈、上行頸動脈、頸横動脈、肩甲上動脈
④肋頸動脈(ロッケ)
深頸動脈、最上肋間動脈
覚え方は、「ツナコロッケ」!
鎖骨下動脈の周りに神経もあり、神経の確認も必須
喜多見チーフは腕が動かせるか無線で確認しています
出血の際は、Case8でお伝えした通り止血!
看護師より圧迫止血をしているように言われています
そしてMERカーにて手術による止血を行われました
Case 10 低血糖の少女
少女の母親より、Ⅰ型糖尿病であることが告げられています
糖尿病とは
インスリン分泌障害および様々な程度の末梢インスリン抵抗性であり,高血糖をもたらします。
高血糖の症状は、多飲、過食、多尿、及び霧視など
低血糖の症状は、冷や汗、動悸、息切れなど
糖尿病の最も頻度が高い症状は、高血糖症状である。
軽度高血糖はしばしば無症状であり、診断が何年も遅れる場合がある。高血糖がより著明になると、浸透圧利尿が生じ、これにより頻尿、多尿、多飲をきたし起立性低血圧や脱水へと進行しうる。
インスリンの分泌
膵臓のランゲルハンス島のβ細胞から血糖を下げる作用を要するインスリンが分泌される。
α細胞から血糖を上げるグルカゴンが分泌される。
インスリンによる血糖降下作用は筋肉におけるブドウ糖の細胞膜透過性促進と肝臓における解糖促進と糖新生抑制によりもたらされる。インスリンは糖以外に脂肪、蛋白質代謝に影響する。
糖尿病にはⅠ型とⅡ型があり、それぞれの特徴によって鑑別される
・Ⅰ型糖尿病(若年性発症型またはインスリン依存性と呼ばれていた)
自己免疫性の膵β細胞破壊によるインスリン産生の欠如自己免疫性の膵β細胞破壊が原因でインスリン産生が欠如しており、その要因はおそらく遺伝的に感受性の高い集団における環境暴露であると考えられている。
血漿血糖値の調節に十分なインスリン濃度を保てなくなるまでβ細胞量が減少する
一般的には小児期または青年期に発症される(成人で発症することもある)
・Ⅱ型糖尿病(成人発症型またはインスリン非依存性と呼ばれていた)
患者にインスリンに対する抵抗性が発生しているため、インスリン分泌が不十分である。肝臓でインスリン抵抗性が上昇すると、肝臓でのグルコース産生を抑制できなくなり、また抹消インスリン抵抗性により抹消でのグルコース取り込みが阻害される。これらが組み合わさり、空腹及び食後に高血糖を生じる。
Ⅱ型糖尿病は一般に成人で発生し、加齢に伴いより頻度が高まる
合併症
長期にわたるコントロール不良の高血糖は、主として小血管、大血管、またはその両方を侵す複数の合併症をもたらす
・糖尿病網膜症
・糖尿病性腎症
・糖尿病性神経障害
・狭心症及び心筋梗塞
・一過性脳虚血発作及び脳卒中
・抹消動脈疾患
・心筋症
・感染
診断
・空腹時決闘(血漿値、FPG)
8〜12時間絶食後の測定(FPG)
・糖化ヘモグロビン(HbA1c)
測定前3ヶ月間の血糖値を反映する。
HbA1c ≧6.5% =糖尿病
HbA1c 5.7〜6.4% =前糖尿病または糖尿病のリスク
・経口ブドウ糖負荷試験(OGTT)
高濃度ブドウ糖液摂取2時間後の測定
治療
全ての患者で重要となるのは、患者教育、食事療法、運動療法、及び血糖値を低下させる薬物療法(インスリンまたは経口血糖降下薬)、血糖コントロールのモニタリング
全てのⅠ型糖尿病患者がインスリンを必要とする
今回の少女が使用しているインスリン
グラルギン(グラルギンBS注キット)(持続型)
アスパルト(イノレット、ノボラピッドなど)(超速攻型)併用
食前に上記のインスリンを投与したが、食事摂取をしていないため低血糖発作を起こしている
処置
血糖測定(値は不明)
50%ブドウ糖注射液を静脈注射
低血糖発作(冷や汗、息切れ、動悸など)とは別に今回はアーモンドチョコレートを摂取したことによる、アレルギー発作が出現
アナフィラキシーショックとなっています
アナフィラキシーショックとは
急性で生命を脅かす可能性のあるIgE介在性のアレルギー反応
反応は以下により誘発される
・薬物
・植物
・タンパク
・動物毒
・ラテックス
好塩基球および肥満細胞上のIgEと抗原が相互作用すると、ヒスタミンおよびロイコトエリエンの放出、ならびに広範な平滑筋収縮(気管支収縮、嘔吐、または下痢などを来す)および血漿漏出を伴う血管拡張(蕁麻疹または血管性浮腫などを来す)を引き起こすその他のメディエータの放出を誘発する
症状
曝露後15分以内に現れ始め、皮膚、上気道、下気道、心血管系、または消化管に及ぶ。1ヶ所以上の部位に及ぶことがあり、症状は必ずしも軽度から重度に進行することはないが、個々の患者は典型的にはその後の曝露に対して同じ反応を起こす。
症状は軽度から重度まで様々である。
徴候には、低血圧、頻脈、蕁麻疹、血管性浮腫、呼気性喘鳴、吸気性喘鳴、チアノーゼ、および失神などがある。数分以内に死亡することがある。
少女は元々、アーモンドアレルギーがありアナフィラキシーショックを起こした経緯あり
少女の症状
発汗
蕁麻疹
喘鳴(気道閉塞)
チアノーゼ
血圧低下など
上記アナフィラキシー症状あり
処置
すぐアドレナリン投与ができなかったため救出後MERカーへ搬送
アナフィラキシーショック状態
気管内挿管
アドレナリン投与
気道閉塞が強くアンビュー(BVM)での換気不十分
希釈したアドレナリンを気管内注入
(1:10,000溶液3〜5mlを生理食塩液10mlに希釈)
アンビューでの換気良好となりSPO2上昇にて症状軽減
病院へ搬送
その後は、犯人の銃創がありますが、圧迫止血後の搬送となっているため省きます
今回は以上
お疲れ様でした。
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