第2話 若き研修医が挑む『命を背負う責任』

工事現場での鉄骨落下事故に出動したTOKYO MER。自身を危険にさらして現場でオペするチーフの喜多見幸太(鈴木亮平)に、研修医の弦巻比奈(中条あやみ)は反発するが、比奈の起こしたミスにより患者は命の危険に陥ってしまう。大きく自信を失った比奈に、夏祭りでの爆発事故の出動命令が下る。多数の重症患者を前に「医師の命を守る責任の重さ」に立ちすくんでしまう比奈。喜多見からたった一人での重大オペを任された比奈は、「命という試練」を乗り越えられるのか?

参考:TBS公式サイト


Case 5 鉄骨に挟まれた少年

トリアージ

意識あり

足の感覚あり

胸痛の訴え

斑状出血

頻呼吸

呼吸音の確認

頸動脈怒張

おそらく外傷性緊張性気胸

酸素投与

心電図モニター装着(頻脈)

点滴投与

消毒

局所麻酔

皮切

胸腔ドレーン挿入

固定のために縫合

呼吸安定にて搬送


外傷性緊張性気胸とは

胸部損傷に分類

胸部損傷は前回ブログのCase 3を参照

Case 3 でもお伝えした通り、緊張性気胸は重要な胸部損傷となる

今回のCaseは鈍的外傷による緊張性気胸


症状

・胸部圧痛、斑状出血、呼吸など

・低血圧またはショックが認められる場合がある

・血管内容量が十分な場合、頸動脈怒張が起こることがある


病態

緊張性気胸は循環だけでなく呼吸も障害する

静脈還流量の減少は心室充満を障害し、低血圧を引き起こす

緊張性気胸における胸腔内圧の上昇、または心タンポナーデにおける心嚢内圧の上昇により、静脈還流量が減少することがある


Case 6 鉄骨に足が挟まれた少女

トリアージタッグには「クラッシュ症候群に注意」と記載あり


クラッシュ症候群 Crush syndrome(圧挫症候群、挫滅症候群)とは

災害や交通事故などで極めて重要な病気の1つである

四肢(特に下肢)の広範な挫滅や圧迫により引き起こされる外傷性横紋筋融解症


病態

物質が足や腕などの筋肉を圧迫し、動脈や静脈を遮断する

遮断された状態が続くと、圧迫されている部位の筋肉細胞の内容物が流出する

これを横紋筋融解という

筋肉細胞に含まれているカリウム、タンパク質(ミオグロビン)などが流出されるが、圧迫により血流が遮断されているため流れない状態が続く

救助されることにより、足や腕などを圧迫していた物質がとれることで、急激に血流が流れ始め、溜まっていた内容物が全身へ流れる

これにより下記のような症状が急速に進む

一般的には約2〜3時間、圧迫が続くと引き起こされると言われているが、1時間程度で引き起こされる


症状

・皮膚の赤み、水膨れ

・感覚低下

・ミオグロビン血症、ミオグロビン尿症(黒褐色、褐色、ポートワイン尿)

・高カリウム血症

・急性腎不全

・ショック

・心停止


処置

・大量輸液

 (15リットル程度)の輸液が必要とされている

・人工透析

 内容物の急激な流出により急性腎不全を引き起こす

 それにより必要となる場合がある


今回のケースでは、

圧迫されていた下肢のチアノーゼ(循環障害)が確認され緊急でMER Carにて処置

大量輸液開始(カリウムを含まない製剤)

心電図モニターにて下記の不整脈あり(心室性期外収縮)

(不整脈については第1話で話しました)

その後のテント状T波、P波消失

心停止

心肺蘇生開始

気管内挿管

アドレナリン投与

重炭酸ナトリウム投与(炭酸水素ナトリウム メイロン®︎)

グルコン酸カルシウム投与(カルチコール®︎)

反応あり、心拍再開

動脈血ガス検査

血圧低下

アドレナリン1/2投与

重炭酸ナトリウム投与

GI療法(ブドウ糖+インスリン)

バスキャラーアクセス ダブルルーメン(ブラッドアクセス)挿入

人工透析開始

重炭酸ナトリウム投与

血圧低下、心室細動

心肺蘇生、除細動

心拍再開

脈拍触知不良

心肺蘇生再開

重炭酸ナトリウム投与

心拍再開


ブラッドアクセスとは

人工透析とは
簡単に説明すると
血液を濾過装置(ダイヤライザー)を通すことで、老廃物を濾過して体内へ戻す


緊急透析の適応はAIUEO(アイウエオ)!
A:acidosis(高度の代謝性アシドーシス) pH<7.1
I:intoxication(中毒)
U:uremia(尿毒症)
E:electrolyte(電解質異常:特に高カリウム血症) K>6.5 mEq/L
O:overload(溢水)
今回はEを認める
高カリウム血症を認め、心電図異常もあり緊急性あり!
動脈血ガス検査の結果↓

※動脈血ガス検査について学んでおくこと!


Case 7 歩行中に突然倒れた女性

意識レベル低下

呼吸促迫

触診 → 腹部膨満あり

ワイヤレスエコーにて腹腔内を確認

左下腹部に腹腔内出血所見

血圧低下・心拍110台

点滴ルート確保

MERカーへ搬送し緊急手術


全身麻酔下にて開腹止血

上腸間膜動脈の損傷にて出血

血管をクランプして止血したが更に血圧低下

他に出血箇所あり

後腹膜腔に出血が多いことから左腎臓(後腹膜腔に位置する臓器)からの出血と推測

マトックス法にてアプローチ

腎臓から出血を止血


今回は以上

お疲れ様でした。

TOKYO MER ~走る緊急救命室~ を読む

以前放送された、日曜劇場『TOKYO MER ~走る緊急救命室~』内にて起こる出来事。その時、医療関係者はどのような診断と処置を行い命を救うのか。ドラマ内における出来事をケーススタディとして記載しています。自己の再学習や、今現在学びを深めている医療系学生の学びに役立てていただけると嬉しいです。そしてご質問やご意見、ご要望、温かいメッセージ等は「メッセージはこちら」またはコメントからどうぞ!

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